(Q1)
今回の震災に伴い、事業活動が縮小している。来年度からの採用を予定している者について、内定を取消すことは可能か。
その他内定者の取扱いについて留意すべきことはあるか。
(A1)
採用内定により労働契約が成立したと認められる場合には、採用内定取消しは解雇に当たり、
労働契約法第16条の解雇権の濫用についての規定が適用される。
したがって、採用内定取消しについても、
客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利を濫用したものとして無効となる。

▲採用内定通知等に採用内定取消事由が記載され、解約権が留保されている場合があるが、
△裁判例によれば、
採用内定の取消事由は、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認できるものに限定されている。
*なお、採用内定により労働契約が成立したと認められる場合に、やむを得ない事情により採用内定取消しを行おうとする場合には、使用者は解雇予告等労働基準法に基づく解雇手続を適正に行う必要があるとともに、採用内定者が採用内定取消しの理由について証明書を請求した場合には、遅滞なくこれを交付する必要がある。
このことは、最低労働基準を定める労働基準法上の取扱いであり、上記の採用内定取消しの有効性に関する取扱いを示したものではない。また、新規学校卒業者の採用内定取消しを行おうとする場合は、所定の様式により、必ずハローワーク及び学校に通知することが必要となる。


(Q2)
今回の震災に伴って、4月1日付けで採用を予定している者について、自宅待機させるか、入社日自体を延期したいと考えているが、その場合に労働基準法第26条の休業手当を支払う必要はあるか。
(A2)
採用内定の際に予定されていた入社日に入社させた上で、実際には就業をさせず自宅待機を命じた場合には、当該自宅待機は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たらない天災事変等の場合を除き、労働基準法第26条に定める休業手当を支払う必要がある。


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