▼地震に伴う「経済上の理由」により、
事業活動が縮小した場合、雇用調整助成金が利用できる。

■概要
 雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金を含む)は、経済上の理由によ
り事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員を一時的に休業などさせた
場合、休業手当相当額の一部(中小企業で原則8割)を助成する制度である。
 東北地方太平洋沖地震被害に伴う経済上の理由により事業活動が縮小した場合
についてもこの雇用調整助成金が利用できる。
 
■対象
 最近3ヶ月の生産量、売上高等がその直前の3ヶ月又は前年同期と比べ5%以上
減少している雇用保険適用事業所の事業主。


■支給要件緩和特例
 さらに、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県のうち、災害救助法適用地域に事業所がある場合には、以下の通り、支給要件を緩和。

1.今回の地震に伴う「経済上の理由」により、最近1か月の生産量、売上高などがその
直前の1ヶ月、または前年同期と比べ5%以上減少していれば対象となる。
2.平成23年6月16日までの間については、災害後1か月の生産量、売上高などがその
直前の1ヶ月、または前年同期と比べ5%以上減少する見込みの事業所も対象となる。
3.平成23年6月16日までの間に提出された「計画届」については、事前に届け出たものとして取り扱う。

■具体的な活用事例
1.交通手段の途絶により、従業員が出勤できない、原材料の入手や製品の搬出ができな
 い、来客が無い等
のため事業活動が縮小した場合。
2.事業所、設備等が損壊し、修理業者の手配や部品の調達が困難なため早期の修復が
 不可能
であり生産量が減少した場合。
3.避難指示など法令上の制限が解除された後においても、風評被害により
観光客が減少したり、農産物の売り上げが減少した場合。
4.計画停電の実施を受けて、事業活動が縮小した場合。

▲注意点
 東北地方太平洋沖地震を直接的な理由(避難勧告・避難指示など法令上の制限を理由とするもの等)とした事業活動の縮小については、「経済上の理由」に該当しないため、本助成金の対象にならない。

△コメント
 全壊、一部損壊には関係ない。例えば地震で工場が損壊したから休業というケースは、この助成金対象とはならない。地震など天災事変、法令上の制限が直接原因となるものは対象とはならず、あくまで「経済上の理由」に該当することが要件となる。(厚生労働省)
 この辺は、東京労働局、宮城労働局でも理解、意思統一されていないようなので困ったものである。
東社会保険労務士事務所HP