労働契約法 第7条(就業規則と労働契約との法的関係)
■参考判例

●秋北バス事件(S43.12.25)
 就業規則変更により、定年制度を改正して主任以上の職の者の定年を55歳に定めたため、
定年制度の対象となった労働者が解雇された事例で、
 新たな就業規則の作成・変更によって、既得権利を奪い労働者に不利益な労働条件を
一方的に課することは原則として許されないが、
 当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者においてこれに
同意しないことを理由としてその適用を拒否することは許されない
と解すべきとし、
 不利益を受ける労働者に対しても、変更後の就業規則の適用を認めた。

●電電公社帯広局事件(S61.3.31)
 健康診断受診の業務命令を拒否した労働者に対して、懲戒処分を行った事で、
秋北バス事件の判決の考え方を踏襲し、
 就業規則上の労働者の健康管理上の義務は合理的であり、労働契約の内容となっている
とし、健康診断の受信拒否は懲戒事由に当たり、懲戒処分が有効とされた。

●日立製作所武蔵工場事件
 就業規則に、36協定に基づき時間外労働をさせることがある旨の定めがあったが、
労働者が残業命令に従わなかったため、懲戒解雇した事例で、
秋北バス事件の判決の考え方を踏襲し、
 就業規則は合理的であり、労動契約の内容となっているとし、
懲戒解雇は権利濫用にも該当せず有効とされた。

●フジ興産事件(H15.10.10)
 就業規則に基づき労働者を懲戒解雇したが、懲戒事由に該当するとされた
労働者の行為の時点では就業規則は周知されていなかった事例で、
 就業規則が拘束力を生ずるためには、その内容の適用を受ける事業場の労働者に
周知させる手続きが採られていることを要するとして、
懲戒解雇を有効とした原審を破棄し、差し戻した。


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