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○厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律
(平成21年法律第37号)


◆概要のみ紹介◆

〔まずは趣旨から・・・〕
この法律は、政府が管掌する厚生年金保険事業及び国民年金事業における被保険者等に関する年金記録の管理の不備に起因した様々な問題の重大性及びこれらの問題に緊急に対処する必要性にかんがみ、かつ、公的年金制度に対する国民の信頼を速やかに回復するため、年金記録の訂正がなされた上で厚生年金保険法による保険給付又は国民年金法による給付(以下「年金給付等」という。)を受ける権利に係る裁定(裁定の訂正を含む。以下同じ。)が行われた場合において適正な年金記録に基づいて裁定が行われたならば支払うこととされた日よりも大幅に遅延して支払われる年金給付等の額について、その現在価値に見合う額となるようにするための加算金の支給に関し必要な事項を定めるものとすることとした(第1条関係)。


1 特別加算金の支給

 保険給付遅延特別加算金の支給
社会保険庁長官は、厚生年金保険の受給権者又は受給権者であった者(未支給の保険給付の支給を請求する権利を有する者を含む。)について、年金記録の訂正がなされた上でこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に当該受給権に係る裁定が行われた場合においては、その裁定による当該年金記録の訂正に係る受給権に基づき支払うものとされる保険給付(厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律(以下「時効特例法」という。)の規定により支払うものとされる保険給付又はこれに相当する保険給付として政令で定めるものに限る。以下同じ。)の全額を基礎として、受給権を取得した日に適正な年金記録に基づいて裁定が行われたならば支払われることとされた日から当該保険給付を支払うこととする日までの間の物価の状況を勘案して政令で定めるところにより算定した額(以下「保険給付遅延特別加算金」という。)を、当該保険給付を支払うこととされる者に対し支給するものとすることとした(第2条関係)。

 給付遅延特別加算金の支給
社会保険庁長官は、国民年金の受給権者又は受給権者であった者(未支給の年金の支給を請求する権利を有する者を含む。)について、年金記録の訂正がなされた上で施行日以後に当該受給権に係る裁定が行われた場合においては、その裁定による当該年金記録の訂正に係る受給権に基づき支払うものとされる給付(時効特例法の規定により支払うものとされる給付又はこれに相当する給付として政令で定めるものに限る。以下同じ。)の全額を基礎として、受給権を取得した日に適正な年金記録に基づいて裁定が行われたならば支払われることとされた日から当該給付を支払うこととする日までの間の物価の状況を勘案して政令で定めるところにより算定した額(以下「給付遅延特別加算金」という。)を、当該給付を支払うこととされる者に対し支給するものとすることとした(第3条関係)。


2 費用
保険給付遅延特別加算金及び給付遅延特別加算金(以下「加算金」という。)の支給に要する費用は、それぞれ厚生年金保険事業に要する費用及び国民年金事業に要する費用に含まれるものとすることとした。この場合において、加算金をそれぞれ当該加算金の計算の基礎となる厚生年金保険法による保険給付及び国民年金法による給付とみなして、厚生年金保険法及び国民年金法の国庫の負担に関する規定並びに同法の基礎年金拠出金に関する規定(他の法令のこれらに相当する規定を含む。)を適用するものとすることとした(第7条第1項関係)。


3 不服申立て
 保険給付遅延特別加算金又は給付遅延特別加算金の支給に関する処分等(次の2の処分等を除く。)に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができるものとすることとした。(第8条第1項関係)

 厚生年金保険法による脱退一時金に係る保険給付遅延特別加算金又は国民年金法による脱退一時金に係る給付遅延特別加算金の支給に関する処分等に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができるものとすることとした(第9条関係)。

 上記1又は2の処分等の取消しの訴えは、当該処分等についての再審査請求又は審査請求に対する社会保険審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができないものとすることとした(第11条関係)。

 受給権の保護等
保険給付遅延特別加算金及び給付遅延特別加算金の支給に関し、受給権の保護、公課の禁止、不正利得の徴収及び時効について所要の規定を設けることとした(第4条~第6条及び第12条関係)。

 保険給付遅延特別加算金及び給付遅延特別加算金の支給に関する経過措置
 保険給付遅延特別加算金及び給付遅延特別加算金は、施行日前に1の1又は2の裁定が行われた者に対しても支給するものとすることとした。ただし、施行日前に当該保険給付又は当該給付を支払われた者(以下「既支払者」という。)に対する保険給付遅延特別加算金又は給付遅延特別加算金の支給は、当該者の請求により行うものとすることとした(附則第2条第1項関係)。
 上記1のただし書の場合において、公布日以後に当該保険給付又は当該給付を支払われた既支払者であって、施行日において当該保険給付に係る受給権に基づき厚生年金保険法による保険給付を受けているもの又は当該給付に係る受給権に基づき国民年金法による給付を受けているものは、施行日において、上記1のただし書の請求をしたものとみなすものとすることとした(附則第2条第2項関係)。
 既支払者が施行日前に死亡した場合又は既支払者であって上記1のただし書の請求をしていないもの(上記2により上記1のただし書の請求をしたものとみなされるものを除く。)が施行日以後に死亡した場合においては、その者の配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。以下同じ。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、当該保険給付に係る保険給付遅延特別加算金又は当該給付に係る給付遅延特別加算金の支給の請求を行うことができるものとすることとした(附則第2条第3項関係)。
 既支払者が上記1のただし書の請求(上記2により上記1のただし書の請求をしたものとみなされる場合を含む。)をした後に死亡した場合又は上記3により保険給付遅延特別加算金若しくは給付遅延特別加算金の請求をした者が当該請求をした後に死亡した場合において、その者が支給を受けるべき保険給付遅延特別加算金又は給付遅延特別加算金でその支払を受けなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の保険給付遅延特別加算金又は給付遅延特別加算金の支給の請求を行うことができるものとすることとした(附則第3条第1項関係)。
 上記1のただし書、上記3及び4の請求は、施行日から5年以内に行わなければならないものとすることとした(附則第2条第8項及び附則第3条第2項関係)。
 年金給付の支給に係る業務に係る体制の整備
国は、適正な年金記録に基づく年金給付の支給に係る業務が円滑かつ迅速に遂行されるよう、当該業務に従事する人材の確保その他必要な体制の整備を図るものとすることとした(附則第4条関係)。


*この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。