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和田経営労務研究所
特定社会保険労務士
和 田 栄
http://www.jinsouken.jp/
前回、前々回のブログで継続雇用制度は、まだ一般化していないということはよくわかっていただけたと思います。

ところで、これは実務ではどのようにいかされるのでしょうか?

継続雇用制度とは、定年後再雇用等して満65歳まで雇用を保障する制度です。
ただし、これは全員でなくてもかまいません(^-^)
再雇用に条件を付けることができるのです。

この条件は労使で話し合って労使協定で決めなければなりません。
つまり、労働組合または社員の過半数を代表する者の同意がいるわけです(-_-メ
(調整が付かない場合、中小企業に限っては就業規則で定めてもいいということになっていましたが、4月1日以降は必ず労使協定が必要になっています)

社員側の同意を得なければならないとなるとちょっとやっかいですよね(-""-;)
基本的に社員は再雇用してほしいわけですから、厳しい条件には難色を示します。
かといって、緩い条件では会社の負担が重い。

この条件を巡ってのせめぎあいになるわけですが、このときこの裁判所の考え方を判断材料にするわけです。

特にこの部分。
「本人が希望すれば何らの制限なくしてすべて雇用する措置を講じさせることは、高年齢者の安定した雇用確保の基盤をかえって危うくする可能性があり、若年労働者の雇用の面からも問題を生じさせるおそれがある。」

人件費が増大すれば利益を圧迫し、結果として人員削減をせざるを得ない状況になりかねません。
更に深刻なのは、若年労働者を雇用することができなくなることです。
これは社会全体として問題なのはもちろんですが、企業としても新陳代謝が図られず、長期的に見た場合に組織として大きな問題を抱えることになります。

いずれにしても高年齢者の人件費を抑えざるを得ないわけで、結局のところ「再雇用の割合」と「再雇用後の給与」とのバランスの中で、再雇用条件は決められることになるでしょう。以上