黒字企業で、社員数が増加傾向にある所にとっては大変有利な政策が実施されることとなりました。なお、この記事は中小企業を対象に書いています。

平成23年6月末に成立した租税特別措置法に、表題の雇用促進税制が盛り込まれています。該当期間は、平成23年4月1日~平成26年3月31日までの間に開始する事業年度が対象になります。内容は、

1. 雇用保険一般被保険者の増加数1人につき、20万円の税額控除
2. 当期法人税額の20%まで税額控除を受けれる

というものです。例えば、法人税(国税)の申告納税額が500万円の場合、最大100万円まで税額控除が受けれることになります。

【計算式】
法人税額500万円×20%=100万円
100万円÷20万円=5人
この場合、雇用保険の一般被保険者を5人増やすと100万円の税額控除が受けれることになります。


どうやれば、この税額控除が受けれるのか・・・以下は、その手順です。
ここで大事なポイントは事前届出制であると言う点です。決算が終了して届け出ておけばよかった・・・と言う事にならない様ご注意ください。

【手順】
①新事業年度開始後2ヶ月以内に、目標の雇用増加数等を記載した雇用促進計画をハローワークへ届け出ます。
3月決算の場合は、5月末までに届け出る必要があります。なお、平成23年度は10月末までの届出が必要になります。
②計画の事業年度が終了後2ヶ月以内に、雇用促進計画の確認をハローワークから受ける。
③ハローワークから交付された確認書を法人税確定申告書へ添付して税務署へ提出。

という流れになります。

これさえやっておけば誰でも税額控除が受けれるのか?よく受ける質問ですが、この雇用促進税制は書類上の手続きだけで無条件に適用されるわけではありません、適正な労務管理が必要になります、以下が具体的な内容ですが、日常の管理は社会保険労務士とご相談の上進めた方が良いと思います。

【適用されるための要件】
①雇用増加要件
前事業年度末と比較して、当事業年度末の雇用保険一般被保険者の人数が10%以上増加し、かつその増加人数が2人以上であること。

②離職理由による要件
前事業年度及び当事業年度中に、事業主都合による離職者がいないこと。

③支払給与額増加要件
当該事業年度における支払給与額が、前事業年度における支払給与額よりも、以下の算式で算定された額以上に増加すること。

給与増加額≧前事業年度の給与額×雇用者増加率×30%



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