ある顧問先から午後3時ころに電話があり、「有期契約従業員に雇止めを言い渡した処、予期に反してトラブルが発生したので至急相談にのってもらいたい」ということだったので、直ちにスケジユールを変更してお伺いしました。
状況を責任者にお聞きすると
①半年単位の有期契約を数回反復している
②今回の契約期限は9月30日
③能力が著しく低下したので(人事考課も最低ランクの評価)、今回の契約期限満了をもって雇止めにすることを8月30日に言い渡した処、当日は素直に従ったが、翌日以降になって、(a)年休残が38日あるのが消化しきれない、(b)約1年前に社会保険未加入だったことがわかり半年前に支払った社会保険料本人負担分を返金してもらいたい等の訳の分からないことを言い始めた。
④実は、前回の契約更新に際して、3カ月契約としたのだが、このときも後日になって苦情を言い始め、結局半年契約に修正した。
⑤この会社は契約更新時には面接を行い、労働条件通知書も再交付しているし、有期契約従業員の人事考課もチャンとやっている。
⑥しかも本人は69歳
このような状況であったので、もし仮に紛争となっても勝てると判断しました。
しかし、流石に大企業だけあって、紛争を起こすことでレピュテーションリスクが発生することは避けたいので示談(調停)という形で穏便に収束させる方法を選択されました(調停合意書の内容も確認しました)。確かに、本人を余り追い込むと「窮鼠猫を食む」といわれる状態にもなりかねないので懸命な選択だと思います。顧問先が争うと言われればその方法を伝授する処ですが、紛争化してムダな時間を費やすことを考えると百歩譲って和解するのが賢明と思います。