ある会社の総務担当者から「年休の一斉付与日と付与日数の変更案」に関して質問をもらった。
従来の付与日数は、入社日当日から年休を付与し、労基法で定める日数をかなり上回る内容であり、それを今回減す訳だがそれでも労基法の水準を上回る付与日数となっていた。そして、今回の変更に関して従業員代表者が中々同意せず困っているとのことであった。
まず最初のご質問は、「この件で労基署に従業員が訴えた場合に労基署がどうするか?」ということであった。この点は直ぐに「日数を減しても労基法を上回る付与日数だから労基署は何もできません。ただし、労働条件の不利益変更となりますから、労基署が根拠とする労働基準法ではなく、民法や労働契約法をもとに不利益変更に関して従業員と争うことにはなり得ます。このとき弁護士や裁判所を使うのも一つの方法ですが、費用がかからない"あっせん"の場で第三者に仲裁してもらう形で話し合いをされてはどうでしょうか?」とお伝えした。
次に、労働条件の不利益変更を行う場合に注意すべき7つのポイントを教授し、一つずつをどの程度今までにやっていたかを説明してもらった。その結果、従業員側の心象への配慮と技術的に枝葉末節的なことの説明に終始し、「何のために変更する必要性があるのか」が従業員に充分に説明されていないことが判ったので、その説明を再度行うように勧めた。
そして、その他の労務管理上の相談をついでに回答した処、大変に満足して頂けた。ただし、この人はあちらこちらで相談しているらしく、膨大な資料を持参されていたことと、話し好きなため話しが長いのには参った。
本日はこれ以外にもう一件の労働相談をうけましたが、その件は別なブログに記載しますので、よければそちらもご覧ください。