顧問先から「有期雇用契約者の時間給を次回契約更新のときから減額したい」という相談があった。
賃金に関しては労働条件の中でも特に重要な要件であるので慎重にお話しを聴いた。
そうした結果、担当業務の変更も同時に行うということだったので、
①御社は契約更新の度に面接を行い、誠実に契約更新を繰り返しているので、有期契約は期限の定めがある契約として有効であること、
②担当業務の変更に伴う減額措置であり、新しい契約時以降がその対象となるのだから、基本的に大きな問題点は無いと思うが、
③労働契約法により、客観的に合理的と認められる理由が必要であること(担当業務変更の合理性・必要性を説明できる状態にしておかないと、争いとなるとリスクを伴うこと)
④有期雇用契約の更新といっても、労働者側は同時条件の更新を期待していると考えられるので労働条件変更を一方的に行うことは好ましくなく、対象従業員によく話しをすることが必要であること
等のアドバイスをした。

次に、「有期雇用契約者にも定年制を適用したいのだがどう思うか?」とのご質問があった。
この企業では、約半年前に有期雇用契約者就業規則を制定したが、いままでは定年に関する条項は適用していなかった。
そこで、就業規則を制定した際に既に定年年齢を超えていた人や後2~3年で定年に到達する人達には激変緩和措置として緩めに運用するようアドバイスした。
そうした処、今回適用となる人は、69歳であり、重たい荷物が運べないなど既に業務に支障が生じており、そのことは本人も認識しているとのことだったので、定年退職させることに問題はないと思うが、有期契約期限の1カ月前にはその旨を書面で本人に交付するよう勧めた。
そして、今後定年退職の対象者が発生するときには、最後の契約更新のときに労働条件通知書に「定年年齢到達につき次回契約更新すことはない」と明記するようにも勧めた。