和田経営労務研究所
特定社会保険労務士
和 田 栄
http://www.jinsouken.jp/

奈良県(医師時間外手当)事件(大阪高裁 H22.11.16判決)
(労働経済判例速報 通算2093号)


2回目は「住宅手当は割増賃金の算定基礎額に含まれるのか?」ということです。

「住宅手当は含めなくていんですよね!」

通常はそうですが、住宅手当が住宅に要する費用にかかわらず定額の場合は含めなければなりません(-_-メ

けっこう住宅手当を一律●万円としている会社も多いのですが、これを割増賃金の算定基礎額に含めている会社はまずありません。
住宅手当というだけで除外できると勘違いしているのです( ̄□ ̄;)

今回争点となった住宅手当(今回の名称は「住居手当」)は、持ち家の場合は定額、賃貸の場合はその費用に応じて変動するものでした。

これについて、裁判では次のように言って含めなくていいとしています。

「持ち家に居住する世帯主である職員に対する手当が定額であるとしても、住居手当自体が住宅に要する費用にかかわらず一律に定額で支給されているということはできない」

つまり、定額と変動が混在している場合は、定額とはみなされないので算定基礎額に含めなくていいということです(^_^)v

賃貸の場合の費用は家賃なので、その金額に応じて手当額を決めることはできますが、持ち家となるとその基準が難しいので定額とせざるを得ません。

そうすると、賃貸はともかく持ち家の手当は算定基礎額に含まれるのではとの疑問もあったわけですが、賃貸と持ち家を分ける必要はなく、一つの住宅手当として固定でなければいいということです。

これも会社にとっては有利な解釈になりましたo(^▽^)o

現在、賃貸も持ち家も一律定額にしている会社は、持ち家は定額にするにしても賃貸については家賃に応じて変動するように変えることをおすすめします。

以上