「うつ」 就業不能時の補償保険の動向

・・・保険会社 拡充か中止で割れる・・・



病気などで働けない事態に備える保険や特約で、うつ病などの精神障害への対応に差が出てきています。


患者の増加に対応して給付金などを支給する商品が増える一方、就業不能の判定が困難として、特約の販売を取りやめる会社も出てきています。


プルデンシャルジブラルタファイナンシャル生命保険が2月に発売した「新・家族収入保険」は、障害基礎年金の障害等級1、2級に該当する場合などに「就労不能障害年金」を給付し、加えてうつ病などの精神障害も障害等級1、2級に該当、もしくは入院した場合などに、3年間の「特定障害年金」を給付するのが特徴です。


富国生命保険が販売する特約「はたらくささえ」も、精神障害で働けない状態が121日以上続いた場合、30万円の一時金を支給します。


精神障害への対応が進む背景には、患者数の急増があり、厚生労働省の調査によると、うつ病を含む気分障害の患者数は2011年で95万8千人、1999年の44万1千人から倍増しており、就業が困難になる人も目立っています。


しかし、保険会社によっては、逆に取り扱いを慎重にするケースも出ており、就業不能保険「リビングエール」を99年から販売する日立キャピタル損害保険は、5月末で個人契約の「精神障害補償特約」の販売を中止します。


うつ病などの精神障害でいかなる職業にも就けない状態という医師の診断書があれば、自宅療養でも2年間給付金を支払う特約ですが、「うつは発症時期の特定が難しく、医師の診断が患者の自己申告に基づく部分もある。告知義務違反が疑われる事案もあり、総合的に判断した」(担当者)といいます。



近年は私生活では問題がないのに、職場にいくと体調が悪くなる「新型うつ」が広がっていることもあるようです。


10年から就業不能保険「働く人への保険」を販売するライフネット生命は、精神障害を支給対象とせず、「患者数の見通しが立てにくく、病気を判断する医学的な根拠も明確ではないため」(出口治明社長)だとしています。