今日の午前中は、ある食品問屋さんで、倉庫の夜間作業員さん達が休憩を取らずに仕事をしていることの相談を受けていました。この人達の所定労働時間数は1日6時間となっているのですが、残業する日が多く、その残業のある日も休憩を取らずに仕事をしているそうなのです。
当然に「労基法で6時間超の労働時間となった場合には45分以上の休憩を途中で取らせなければならない」となっているから、違法の指摘をうけることはお話ししました。
ただし、この会社は労働時間全てに時間給で賃金を支払っていたそうですから、未払賃金は無いようなのです。
しかし、労働の実態としては6時間全てを働いている訳ではなく、タバコを吸ったりお茶を飲んだりして各自で適当に休憩しているようなのです。
先日この人達に総務責任者が休憩を取るように指導した処、「お金が欲しいから、休憩時間にも働く」と言って、全く従おうとしなかったそうです。法律による制約と生活権との対立という厄介な問題です。
しかし、会社には善管注意義務という厄介なものがあり、従業員が法違反をしていても会社の責任を問われます。
そこで、まずは緊急に、上司となっている人が労働時間の管理を徹底して行うこと、そして急ぐけども慌てずに従業員さん達に上司の指示に従うように指導していくことにしました(従業員さん達は管理され指示されることを嫌う)。
要するに、上司が各従業員の労働時間(働いているのか休憩しているのか)を管理しようとせず、各従業員さん達を放任していることが根本的な問題なのです。
今回の休憩時間の問題にしても、過去に他社で経験した未払い賃金にしても、上司が従業員を管理(監視ではない)しようとせず、各自の自己判断に任せるという方便で放任しているから、何かのときにトラブルとなってしまっていることが多いようです。
自己管理に任せると言っても、守るべきルール・規則というものはありますから、上司は時には違反していないかチェックすることが必要です。チェックしなければ「自己管理するよう権限を委譲している」のでなく、「単に放任している」だけとなります。
そして、この問題から時間管理を始めて、従業員に与えた仕事量と作業時間とを比較して(作業分析)、TQCの考え方を導入することで作業の標準化を図り、業務改善と人事考課に結びつけるようにお勧めしました。要するに、上司が仕事量と所要時間とを把握せずに仕事を依頼しているから、従業員のペースだけで仕事を進捗させてしまい、従業員からの反論に抗弁できない状態になっているのです。そのため、当然に仕事上でムダが多発している筈なのです。このようなときには、職務分析だけでなく作業分析や動作分析を行い、仕事量と所要時間を適切なものにして標準化していくことが必要となると思います。