事案は、「X(旧国鉄)には、職員、家族などに対し無料で乗車することを認めるいわゆる鉄道乗車証制度が存在し、職員募集要領等においても職員の待遇としてそれを交付することが明示されていた。昭和57年7月の第二次臨時行政調査会の答申に基づいて、Xは右制度の見直しに入る動きをみせた。 これに対し、Y(国鉄労働組合)は乗車証制度の存続を求めて、昭和57年8月以来たびたびXに団体交渉を申し入れた。 しかし、Xは、乗車証問題は管理運営事項であり、公共企業体等労働関係法8条の団体交渉事項に該当しないことを理由に右申入れを拒否し、同年11月13日に右制度の改廃措置をとった。 そこでYは、乗車証制度は公労法8条の団体交渉事項に該当するとして、同事項についてXに団体交渉を行う義務があることの確認、および団交拒否の不法行為に基づく損害賠償を求めたもの」である。

 これは、国鉄事件であるが、一審は、Yが右制度の改廃について団体交渉を求める法律上の地位にあることを確認したが、損害賠償についてはこれを棄却した。二審もこれを維持し、最高裁(最判H3,4,23)も次のように判示して、原審を是認した。

1 YからXに対し、本件各事項につき団体交渉を求め得る地位にあることの確認を求める本件訴えが、確認の利益を欠くものとはいえず、適法であるとした原審の判断は、正当として是認することができる。

2 本件各事項が公共企業体等労働関係法8条4号にいう「労働条件に関する事項」に該当し、団体交渉の対象となるべき事項であるとした原審の判断は、正当として是認することができる。

 本判決は特に理由を示していないが、確認訴訟という形式で団体交渉の拒否に対する司法救済を、最高裁として初めて認めたものである。

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