( ^u^ )  初めまして、社会保険労務士の中山です。
見かけは若いですが、これでも55歳になりました。
長らくサラリーマンをして居たのですが、
一念発起して社会保険労務士になりました。
毎日、沢山の中小企業の経営者の皆様と、
ご相談させて頂きながら、色々な勉強をさせて頂いています。

§*_*§  中山社会保険労務士事務所の新人スタッフ美咲です。
中山先生と私の父が、古くからの友達で、そのご縁で中山事務所に入りました。
少しおっちょこちょいですが、明るさと笑顔が私の取り柄です。

(^ム^) 地元で車関係の小さな部品工場を経営している、山田です。
中山先生と同じ町内に住んでいたのが縁で、
時々中山事務所に寄って相談に乗って もらっています。
実は、美咲ちゃんが来てからは、回数が増えています。
趣味は、ゴルフです。関係ないですか。ハッハッハ・・・。

こんな三人で,説明をして参りますので、よろしくお願いします。

§*_*§ 「先生、また新しい本を、お作りになったのですか。」

( ^u^ )「いやー、今回は本って言うか、ちょっとしたマニュアルってとこですよ。」

§*_*§ 「ちょっと見ても良いですかー。“社会保険料適正化マニュアル”・・? 
難しそうですね。何に使うのですか。」

( ^u^ )「美咲ちゃんは給料をもらった時、引かれ物が多いな~って、
感じた事はないですか。」

§*_*§ 「勿論、いつも思っていますよ。でもそれって仕方ない事なのでしょう。」

( ^u^ )「そうですね、引かれ物にはそれぞれ理由が有りますから、
ある程度仕方ないとも言えますね。
只、これからも更に引かれ物は増えて行くとしたら、
何とかしたいと思いませんか。
ましてや会社は、従業員全員が払っている社会保険料と
同じ額を負担しています。
従業員の方の数に依っては、何千万円、
何億円もの社会保険料を負担しているのです。」

「特に健康保険料や厚生年金保険料は、年々その負担が増えています。
これには理由が有って、
日本の年金制度が、“世代間扶養方式”と言う考え方を取って居る事が、
影響しているのです。
つまり、その時代の高齢者への年金等の給付費用を、
その時代の現役世代の負担で、賄おうと言う考え方なので、
高齢者世代の人口と現役世代の人口のバランスで、
負担が大きく変わるのです。」

§*_*§ 「そう言えば3人の若者で、お一人のご老人を賄う時代って
聞いた事があります。」

( ^u^ )「さすが美咲ちゃん、よく知っていますね。」

「日本の高齢者の増加スピードは、世界の先進国の中で、
例を見ない程急速なのです。
実は既に3人でお一人を支える時代は過ぎて、
今や2人でお一人を支える時代に向かっているのです。」

「この様な高齢化の急速な進展は、年金財政の逼迫を招きます。
その事が社会保険料の高騰を招き、保険料の確保に躍起となる、
行政庁の指導強化に繋がり、
更に、この事が企業の収益を圧迫しているのです。」

「現在、福岡県の厚生年金保険料は16.766%、健康保険料は10.12%、
さらに介護保険料1.55%と合わせて、28.436%もの社会保険料を、
労使折半で負担しているのです。
1億円の給与を払う時に、別途、約1,400万円もの社会保険料を、
会社は払っているのです。
近い将来その負担は1500万円になり、将来は1800万円になると
言われています。」

§*_*§ 「ワー、社長さんって、大変なのですね。
何とかなるなら、何とかしたいですよね。」

(^ム^) 「やあ美咲ちゃん。今日は。」

§*_*§ 「あっ、山田社長さんいらっしゃい。社長さん、今日もお元気そうですね。」

(^ム^) 「アッハッハ・・・カラ元気、カラ元気、
これで結構悩んでいたりするのですよ。」

§*_*§ 「エー、社長さんにも悩みがあるのですか。
社長さんの悩みって、どんな悩みなのですか。」

(^ム^) 「ハッハッハ・・・実はネー、税金や保険料の負担が重くて、
悩んでいるのですよ。」

( ^u^ )「アッ山田社長、楽しそうですね。
実咲ちゃんと何の話をしているのですか。」

(^ム^) 「ハッハッハ・・・税金や保険料が高くて経営が苦しいって、
話をしていたのですよ。」

( ^u^ )「山田社長の会社は、社員さんが28人でしたね。
ざっとお給料は年間1億円と言う所ですね。
健康保険料と厚生年金で今年は、1,400万円と言うところですね。」

「節税の方は税理士の先生にお願いしているでしょうから、
社会保険料の節減の話をしましょうか。」

「実は、節税と同じ様に、社会保険料の負担を軽くする方法も、
幾つかありますよ。」

(^ム^) 「エッ、本当ですか先生。そんな事が出来るのでしたら、ぜひ教えて下さい。」

( ^u^ )「今年、社長の会社の社会保険料は1,400万円と言いましたが、
実は近い将来1,500万円になり、更に1,800万円になると言われています。」

    「むしろ早めに対策を考えて、社会保険料をある程度コントロールする事は、
どの会社にも重要な課題なのです。」

「税金は、行政サービスの名の元に、国が一方的に課する物ですから、
社長も含めて節税対策には、皆さん熱心です。
ところが、社会保険料に付いては、最初から諦めて手を付けてない
経営者の方が多いようです。」

(^ム^) 「先生、今日は良い話を聞きました。
よし、これからは“社会保険料節減の鬼”になるぞー。」

( ^u^ )「ハハハッ社長、ちょっと待ってください。
社会保険料には給付と負担の関係と言う側面があります。
下手に節減に偏ると社員のモチベーションを下げて、
業績低下を招く事もあります。
そんな事になったら、本末転倒です。慎重に対策を考えましょう。
それに、最近は行政指導も強化されていますから、
行き過ぎた節減対策には、注意が必要です。」

「今から幾つかの対策に付いて説明しますので、
バランスの良い節減対策を実行しましょう。」

(^ム^) 「ウォッ、“社会保険料節減39の対策”ですか。
これが先生の言う、社会保険料節減の方法なのですね。
それにしても色々あるものですね。」

§*_*§ 「本当、沢山ある。でも、どれも意味がよく解らないわ。」

( ^u^ )「ハッハッハ、美咲ちゃんには、これから勉強してもらう事ばかり
だからね。」

 「実は、どの節減方法にも、根拠になるルールがあって、
それさえ理解すれば、そんなに難しい事ではないのですよ。」

§*_*§ 「でも難しそう。」

(^ム^) 「そう難しそう。先生、私にも解るように、噛み砕いて説明お願いしますよ。」

( ^u^ )「はい、解りました。ひとつひとつ説明しますので、大丈夫ですよ。」

「では、始めますよ。
お二人は“保険料額表”って、聞いた事がありますか。」

§*_*§ 「先生、私はあります。
健康保険料や厚生年金保険料の早見表みたいな物ですよね。」

( ^u^ )「そうですね。まさに早見表です。
その早見表に実は沢山のマジックが隠されて居るのです。」

(^ム^) 「へえー、マジックかー、何か楽しそうですね。」

( ^u^ )「この料額表には、標準報酬等級と言うのがあって、
その等級毎に報酬月額が決められて居ます。
例えば美咲ちゃんの社会保険料は、実際に美咲ちゃんが受け取っている
給与、つまり“報酬月額”ではなくて、
“標準報酬”に一定の保険料率を掛けて計算します。」

§*_*§ 「どうして、そんな面倒臭い事するのですか。
そのままお給料に掛ければ、良いのに。」

( ^u^ )「でもですねーそうすると、ひとりひとり、大なり小なり金額が
細かく違う訳だから、それこそ大変なのです。
そこで、幾ら~幾らまでは、“標準報酬”幾らにしますって決めて、
それに保険料率を掛ける事にしたのです。」

「幾ら~幾らが“同じ標準報酬”になるという事は、給与が一定額違っても、
同じ保険料になる事を意味しています。
ここに、最初のマジックが潜んで居るのです。」

§*_*§ 「つまり、私より沢山給与をもらっている人も、
私と同じ保険料の場合があるって事ですね。」

( ^u^ )「さすがは美咲ちゃん、察しが良いですね。
その他保険料額表には、上限・下限が有ったり、
そもそも、保険に入らなくて良い人がいたり、色々なマジックがあるので、
これから例を挙げながら、説明して行きますから、聞いて下さいね。」

「では、最初に書いてある“入社時の給与に気を配る”の件ですが、
まずこちらをご覧ください。」

§*_*§ 「アッ、さっき先生が言っていた“保険料額表”ですね。」

(^ム^) 「ホウッ、これが早見表と言うやつですか。しかし細かい数字ですね。
先生、老眼の私にはちょっと辛いですよ。」

( ^u^ )「アッ、すみません。社長には拡大コピーをすれば良かったですね。」

§*_*§ 「社長さん、この表のどこにマジックが有るのか、楽しみですね。」

(^ム^) 「そうだね、美咲ちゃん。楽しみ・・楽しみ・・?」

( ^u^ )「細かい数字は後で拡大するとして、この表の見方を説明しますので
聞いて下さいね。」

「まず、タイトルですが、
『平成24年9月分からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表』と言います。

その下に細かい字で適用期間が書いてありますよね、
良く見ると厚生年金保険料率だけが、
平成24年9月分~平成25年8月分となっています。」

(^ム^) 「ウワッ、細かい字ですね。どれどれ・・・
確かに厚生年金だけがそうなっていますね。」

§*_*§ 「先生、どうして厚生年金保険だけがそうなって居るのですか。」

( ^u^ )「実は、厚生年金保険の料率は、毎年9月に0.354%ずつ引き上げられて、
平成29年の9月からは18.3%にする事が、もうすでに決まっているのです。
そこでこの表にも、今の料率は今年の9月からですよって、
断ってあるのです。」

(^ム^) 「ウヘッ、そんなに高くなるのですか。
ウーン・・またまた悩んでしまいますよ。」

( ^u^ )「実は、健康保険料も毎年の様に上げられています。
このふたつの保険料は、負担料率が大きいですから、本当に大変なのです。」

「保険料額表は、各県毎に作られています。
この保険料額表は、福岡県の物なのですが、
全国的に見ても負担率は大きい方です。」

「表の左上が“標準報酬”に成っています。
“標準報酬”は、健康保険が1等級~47等級、
厚生年金保険料が1等級~30等級に分かれています。
ちなみに厚生年金保険料の1等級は健康保険の5等級に当たります。」

「その横が“報酬月額”です。
つまり美咲ちゃん達が、実際に受け取っている給与の額です。
標準報酬等級毎にこの様に幅が決められています。」

§*_*§ 「この給与の幅に入る方達が、同じ標準報酬等級となって、
同じ額の保険料を払うのですね。」

( ^u^ )「その通りです。その右には、健康保険料の料率と厚生年金保険の料率が
あります。     
ご覧の様に、健康保険は“介護保険第2号被保険者”に該当する人と
それ以外の人、厚生年金保険は一般の方と坑内員・船員の方で保険料率が
違います。」

§*_*§ 「結構、複雑な決まりが有るのですね。」

( ^u^ )「そうですね。では、この表の事を頭に浮かべながら
“マジック1.初任給・・・”をご覧ください。」

「A社は初任給25万で新入社員を採用しました。
B社は初任給24万9900円で新入社員を採用しました。」

(^ム^) 「たった100円の違いではないですか。」

( ^u^ )「その100円の違いに付いてですが、美咲ちゃん、
さっきの保険料額表では25万円は、標準報酬幾らに成っていますか。
それと、24万9,900円は如何ですか。」

§*_*§ 「先生、A社の方は標準報酬26万円です。
B社の方は、24万円ですから2万円も違います。
先生、それぞれこの金額に保険料率を掛けて、保険料を計算するのですか。」

( ^u^ )「そうなのですよ、実は既に計算した数字が、
それぞれの覧に書いてあるでしょう。
A社の新入社員の健康保険料は、月額13,156円、
厚生年金保険料は21,796円です。
それを1年分にするとA社の新入社員の健康保険料は、
419,424円となります。」

「一方、B社の新入社員の健康保険料は、月額12,144円、
厚生年金保険料は20,119円ですので、年間では387,156円です。
僅か100円の報酬の差で、等級が変わり、年間32,268円の負担の差が
生まれました。」

    「会社は32,268円の負担増に成り、同様にA社の新入社員は手取りが、
その分減る事に成ります。」

「わずか100円の違いですけど、等級が変わるとこんなに差が出ます。
初任給を決める時に、この違いを意識して、わずかの違いなら、
等級の低い方に入る様にすると、本人の手取も増えますし、
勿論会社の負担も軽減できます。」

「山田社長の会社では、今年は新入社員を、3人採用の予定でしたね。
もしかしたら約10万円の保険料の差がでるかも知れませんよ。」

(^ム^) 「こりゃー、うちも初任給を下げなければいけませんね。」

( ^u^ )「いや社長、その他の手当の事も有りますから、簡単ではありません。
慎重に検討して決めなければいけないのですが、
その辺りは今度ゆっくり説明させて頂きますね。」

(^ム^) 「解りました。その時には、他の社会保険料節減マジックも聞かせてください。
こりゃー、楽しみが出来たな。近日中にまた来ます。
では、美咲ちゃんも、さよなら。」

…次回をお楽しみに…中谷社会保険労務士事務所でした。