共通番号制度とは、国民一人ひとりに番号を割り振り、社会保障サービスの利用実績や所得情報と結びつける制度です。
 この法制化に向けて、政府・与党の社会保障改革検討本部が制度の大綱を決定しました。番号は年金、医療、介護、税務などの分野に利用される予定です。
 社会保障や税制の抜本改革を進めるために共通番号は必要な制度であり、さらにきめ細かな社会保障サービスを実現する上でも欠かせません。
 政府は2015年の利用開始を目指し、今秋の臨時国会にも関連法案を提出する意向です。個人情報の保護に万全を期しつつ、着実に準備を進める必要があります。
 大綱には、東日本大震災を教訓にして、災害時の制度活用策も盛り込ました。
 例えば、要介護や投薬歴の情報参照が可能になることから、避難者に医薬品や医療サービスを効率的に提供できるとしている。
 被災者生活再建支援金などの申請に当たっても、従来必要とされてきた罹災(りさい)証明書などの添付が不要になり、より迅速に支給手続きを進めることができる。被災地から転出した場合でも、必要な支援を継続して受けられます。
 住民基本台帳ネットワークも東日本大震災で一層明確になったと言えます。住基ネットは行政機関がどこからでもデータを参照できます。このため、庁舎の水没などで住民基本台帳を利用できなくなった自治体が、県のサーバーに保管されている住基ネットのデータを安否確認などができたそうです。
 共通番号制度の導入によって、社会保障や税関連の個人情報も結びつけられるようになれば、被災者支援をより充実したものにできると考えられます。