厚生労働省は2012年3月末で制度が廃止される税制適格退職年金(適年)について、特例措置を設ける方針です。

 他の企業年金制度への移行を促すため、移行に必要な手続きを簡素化するのが目的です。

 すでに年金を受け取っている人だけで構成する「閉鎖型」と呼ばれる適年が対象となります。

 この閉鎖型年金は主に生命保険会社と中小・零細企業との契約で、2010年11月末時点で約3000件が残っています。

 適年は2012年3月末で税制優遇が廃止され、確定給付企業年金などの他の企業年金制度に移行しないと、同年4月から年金受給者に税負担が発生します。

 会社が企業年金制度を変更するには、労使合意が必要で、労使合意の経緯など多くの書類を作成する必要があります。

 厚労省は特例措置で必要性の低い書類を不要とし、さらに変更後も運用の基本方針の作成を求めないほか、決算書類も簡略化する方針です。

 適年のうち現役社員が加入する約1万3000件については特例措置の対象になりません。