ニュースプラス:道内労組の組織率微増 不安定な雇用、役割再評価 非正規、低賃金、若者加入増え /北海道

毎日新聞 2012年10月04日 地方版


 道内の労働組合(労組)の組織率が微増している。労組離れが指摘される若者も、インターネットで労組にたどり着くケースが増加。不安定な雇用状況が続く中、労組の役割が見直されている。【山下智恵】

 ■初めてのスト

 「おれたちは奴隷じゃない」。9月21日、田井自動車工業(札幌市東区・従業員51人)の労組が未払い残業代の支払いや労務管理の改善などを求め24時間のストライキを行った。

 組合員は20〜40代の男性24人で、平均29歳。同社は消防車などの製造・整備を手がける。繁忙期は残業が月約200時間に上る部署もあり、徹夜で残業することもあった。しかし、残業代が定額で、多くの組合員の手取りの月給は20万円ほど。時給換算で道の最低賃金ぎりぎりだ。組合員の一人(28)は「息子に『おじちゃん今度いつ来るの』と言われた。家にいない、金も持って帰れない。父親の面目丸つぶれ」と声を落とす。

 今年3月、若手社員が労組を紹介するインターネットを見て、中小企業労組を支援する札幌地域労組(札幌市北区)を知り、駆け込んだ。橋本良太さん(33)が中心になり、5月に地域労組の支部を結成した。

 労使交渉で2年分のタイムカードを開示させ、残業も拒否。有給休暇の取得率も約10%から約50%に伸びた。「今まで愚痴に終わっていたが、会社側に改善を求めて発言できるようになった」と組合員らは労組の意義を強調する。支部長の橋本さんは「何もかも初めてだが、若い世代に権利の守り方を示すためにも頑張りたい」と決意を語る。会社側は「コメントすることは一切ない」としている。

 ■個人加盟も可

 道の統計によると、労組の組織率(組合員数を労働者数で割った数値)は1969年をピークに減少傾向だったが、リーマン・ショック後の09年を境にそれ以降、微増に転じた。組合数は減っているが、組合員数は増え、11年の組織率は17・7%で、前年比0・1ポイント増。

 要因として、非正規雇用や最低賃金ぎりぎりの「名ばかり正社員」などの増加のほか、労組側が非正規雇用や小規模事業者の労働者も加盟できるようにしたことが挙げられる。

 道内では、職種や雇用形態に関係なく、1人でも加盟できる労組が約10団体ある。


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