解雇や給料未払いなど職場の争いごとを素早く解決するための「労働審判制度」。昨年4月のスタートから1年間に全国の地裁に申し立てられた件数は1163件だったことが最高裁のまとめでわかった。手続きが終わった919件をみると、申し立てから終了までの平均日数は74.2日。8割以上が「解決」しており、順調な滑り出しと言えそうだ。

 最高裁から審判員に任命された労使の専門家2人と、裁判官1人でつくる審判委員会が、トラブルが起きた会社と個人の双方の話を聴いて原則3回以内の期日で決着を図る仕組み。調停が成立しなかった場合は「解決案」として委員会が審判を示し、確定すれば裁判の和解と同じ効力を持つ。異議があれば訴訟に移る。訴訟よりも手軽に利用できる。

 最高裁によると、申立件数が最も多かったのは東京地裁で345件。大阪102件、横浜95件、名古屋71件と続く。最も少ないのは松江の1件で、秋田と福井が2件だった。

 終了した919件のうち、半数近い454件が地位確認、247件が賃金など、71件が退職金をめぐる争いだった。

 7割にあたる644件で調停が成立し、162件で解決案を示す審判が出た。審判の内容に異議があって正式な訴訟に進んだケースなどを除くと、全体の8割以上が「解決」したことになる。

 申し立てから終了までの時間をみると、7割にあたる655件が3カ月以内で済んでいた。ほとんどが3回以内の期日で収まった。