4月に入り、暖かい日が続きだいぶ過ごしやすくなってきました。熊本では桜も散り、日に日に季節の移り変わりを感じることが出来ています。皆様は、いかがお過ごしですか?

さて、本日、夕刊各誌で衝撃的な記事が記載されました。「先進国から日本脱落?」というものです。人口減少社会が現実化し経済規模が縮小していく日本では、生産に携わる人口を増やしていくことが急務となっています。その方向性のひとつが、女性や高齢者を労働市場に定着させることの様です。若年層の失業率の高さも深刻な問題ですが、若手社員の職業能力向上を支援する国の姿勢は継続しているようです。

女性を労働市場に定着させる取り組みとしては、育児介護休業に対して助成金を出したり、企業側が働きやすい制度を構築することを支援する一方で、配偶者特別控除の廃止・社会保険の適用拡大などが議論されています。もっとも、社会保険の適用拡大は、財源不足に起因している面も大きいのでしょうが・・・

ここでは、パートタイマー労働者への社会保険の適用拡大案について解説したいと思います。平成24年3月13日に、政府は社会保険の適用対象とするパートタイマー労働者の要件を定めました。これにより、被保険者が45万人増加する見込みとの事です。
■ 拡大対象者の要件
労働時間・・・週20時間以上
雇用期間・・・1年以上
年収・・・94万円以上
事業規模・・・501人以上

導入時期としては、2016年4月に501人以上の企業を対象に施行される予定です。その後、3年以内に追加の拡大を行っていくとの事ですが、詳細は決まっていない様です。

年収が120万程度のパートタイマーの場合、企業負担が年間で16~17万円増加する事になります。100人パートタイマーがいたら16,000千円~17,000千円の負担増になり、売上高対税引き前経常利益率が1%の企業だと、16~17億以上の売上がないと赤字に転落することになります。

パートタイマーの労働時間を週20時間未満にするとか、1年限定の更新なし労働契約を締結するなどの対策も考えられますが、パートタイマーを多く雇用する業界は小売や飲食業などが多く、この様な業界は人手不足が顕在化しているものです。結論として、上記のような小手先の対策は現実的ではありません。

パートタイマーが多い業界では、商品力の向上などの利益率向上に向けた取り組みが今まで以上に大切になってくるものと考えられます。逆に、見方を変えれば中小の個店レベルではチャンスも広がってくるケースも考えられます。大手企業は、新興国等で開発輸入を行うことが原価低減のひとつの方策でした。その新興国では、経済発展によりコストが上昇していくものと考えられます。原価が下げられなくなることが見込まれる中、商品開発がより重要になってくるのですが、例えば、飲食店の場合、商品開発を行ってからメニューに並ぶまで、中小企業と比べた場合、スピーディな対応が出来にくいなどの面があると考えます。