憂楽帳:数値目標


 評論家の岡田斗司夫さんが書いた「いつまでもデブと思うなよ」(新潮新書)が爆発的なベストセラーになっている。117キロあった体重を1年で50キロも減らしたというから、「一体、どんなことをしたのだろう」と、読まずにはいられなくなった。



 方法はいたって単純だった。1日に食べる量を1500キロカロリー分までと決め、ひたすら実行した。単純だが、この目標設定が重要だ。「1年で50キロ減」では無理だっただろう。結果ではなく手段に数値目標を付けたのがミソだ。



 アジア・太平洋地域の21カ国が合意した温暖化防止の数値目標も似たところがある。「X年後に温室効果ガスをY%削減」ではなく、省エネや森林拡張といった手段に数値目標を定めた。



 次の問題はいかにきちんと実行するかだ。岡田さんは毎日、食べたカロリー量と時刻を記録し、目標を守れているか点検した。この点検作業が成功のカギを握るという。個人の減量と複雑な温室効果ガス削減はもちろん違う。でも、目標を掲げるだけでは数字が減らない点は同じだ(毎日新聞 2007年9月13日)。



* 目標の設定は、何をやるにしても必要だ。例えば、人事制度における評価シートにおいても、目標の設定がなければ、目標達成度を評価することはできない。そして、目標を設定したら、それを実行できるかがカギを握る。