最近は、統計上景気が回復したとされていますが、バブル経済崩壊後は、リストラ等による不当解雇や賃金未払いなど、労働者と使用者との間の個別労働紛争は、相変わらず増えています。

 労働局などに寄せられる相談で最も多いのが、やはり解雇事案であり、次が労働時間、賃金引下げなどの労働条件の低下の事案、これにいじめ・嫌がらせの事案が続きます。

 このように労働者と事業主との間に個別労働紛争が生じた場合、顧問の弁護士や社会保険労務士などによって、「企業内において自主的解決」を図るのがベストである。このような法律の専門家が企業内に存在する場合には、紛争を未然に防ぐため、就業規則の充実が図られているものと思われます。しかし、それでも、個別労働紛争は起きるものです。

 企業内に法律の専門家がいない場合には、法律知識等の不足により紛争の自主的解決が困難となる場合が多くなります。そこで、都道府県労働局企画室または労働基準監督署に設けられている「総合労働相談コーナー」では、自主解決のための情報提供や相談・助言を行っています。

 また、都道府県労働局長は、個別労働関係紛争に関し当事者の双方または一方から紛争解決について援助を求められた場合には、企業内自主解決ができるよう、当事者に対し、必要な助言又は指導を行います。もっとも、男女雇用機会均等法にかかる事案については、勧告も行います。

 さらに、都道府県労働局長は、紛争当事者の双方または一方から「あっせん」の申請があった場合に、紛争解決のために必要があると認めるときには、都道府県労働局にある「紛争調整委員会」にあっせんを行わせます。あっせんは、当事者双方の主張の要点を確かめ、実情に即したあっせん案を作成・提示しますが、当事者の一方から不参加の意思表示がなされると、あっせん打ち切りとなります。また、あっせん案は、必ず受諾しなければならないものではないのです。このように強制力がないのです。

 そこで、労働審判制度の登場となりますが、次回に譲ります。

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