土曜日に自宅の電話が鳴りました。
電話番号表示は、「非通知」となっていました。

私が受話器を上げ「はい、五十嵐です」と名乗りました。
すると、 相手が
「もしもし、学。・・・母さん?」 と声をかけてきます。

私はその瞬間、頭の思考回路がストップしてしまいました。
自分は誰?という考えが頭の中を駆け巡ります。

私自身が、五十嵐学という名前です。
相手から、私が「学だけど」と名乗られて、何が何だか分からなくなりました。

とっさに、「学です」と告げ返しました。
一瞬、弟が電話をかけてきたのかと考えたからです。
私の弟は、兄の私の事を呼び捨てで呼んでいるからです。それにしても、相手の最初の言葉に意味がおかしいことにある事が違いは無いのですが。

そして、おろおろとしながら、私が自分の名前を告げると、その相手はガチャンと電話を切りました。
またまた、何がどうなっているのか、全く状況が分かりませんでした。

そして、2,3分してようやくあれが、俺俺詐欺か、とやっと合点がついたのです。

それにしても、手が込んでいます。電話先の息子の本名を調べてから電話をかけてきているのですから。
普通なら、「おれおれ、母さん」と言っているところです。

でも、こんな事、簡単な事だと思います。
事務所のホームページでは、本名を掲載しています。
自宅の電話番号を調べようと思えば、いくらでも調べられます。
そうやって、かけてきたのでしょう。

電話をしてきた人の声は、若い男性でした。34歳の私とちょうど同じくらいか、少し若いくらいのようでした。
声の調子は、とっても澄み切っていて、すごく爽やかな、テレビドラマの青年役の俳優のような声でした。
とにかく、感じのいい声なので、雰囲気で引っかからないようしましょう。