着服などによる弁護士の懲戒処分が昨年、前年より7件増えて過去最多の69件に上ったことが7日、日弁連のまとめで分かった。10年前の2倍を超え、うち弁護士資格を失う除名と退会命令は計5件。依頼者らからの懲戒請求も最多の1367件を記録した。司法制度改革で弁護士が急増したことなどが背景にあるとみられる。

 日弁連のまとめによると、各地の弁護士会が昨年決めた懲戒処分の内訳は、除名3件(前年比1件増)、退会命令2件(同1件減)、業務停止2〜1年4件(前年同数)、業務停止1年未満29件(前年比11件増)、戒告31件(同4件減)。

 最も重い除名となったのは、遺産分割調停で依頼者に渡すべき約6500万円を流用した東京弁護士会の弁護士、和解金など約950万円を横領した沖縄弁護士会の弁護士、同様に和解金など約930万円を着服した横浜弁護士会の弁護士。

 懲戒処分は昭和63年から平成10年まで14〜43件で推移。11年に50件台に乗り、14年に66件となった。いったん減ったが、17年以降は2年連続で増えている。

 一方、弁護士数は昭和63年が約1万3000人だったのに対し、平成17年は約2万2000人、昨年はさらに約1000人増えた。