安倍首相は20日午前、国会内で、柳沢厚生労働相と会い、社会保険庁改革関連法案で、社保庁を廃止する代わりに新設する非公務員型の公法人の名称を「日本年金機構」とすることを決めた。

 全国にある社会保険事務所の名称は「年金事務所」と改める。政府は、法案を3月10日ごろに国会へ提出する方針だ。

 柳沢厚労相は閣議後の記者会見で「『日本』という名前を付けることで、国が財政責任、管理責任を持っていることを表した」と述べた。

 公法人の名称が決定したことで社保庁改革関連法案の全体像が固まった。社保庁の代わりに日本年金機構を設けることや、社保庁の年金給付や保険料徴収などの実務を民間企業へ外部委託したり、業務の一部を職員ごと民間会社として独立させたりする規定を明記する。悪質な保険料滞納者への強制徴収は、国税庁に委託することが可能となる。

 法案が成立すれば、社保庁は2010年1月をめどに廃止され、社保庁が担っている公的年金の業務や権限は<1>日本年金機構<2>民間企業<3>国税庁<4>厚労省――に4分割される。

 社保庁改革は、年金保険料の無駄遣いに加え、職員による政治家やタレントの年金加入記録ののぞき見などの不祥事が相次いだことがきっかけだ。政府は昨年の通常国会に職員の身分を国家公務員のままとする、最初の社保庁改革関連法案を提出したが、職員が加入者に無断で国民保険料を免除した不正免除問題が発覚。「公務員のままでは改革は不十分」と判断した政府・与党は昨年の臨時国会で同法案を廃案とした。