読んだ方も多いと思いますが、一昨年末に出版され、ベストセラーとなった藤原正彦氏の「国家の品格」を読む機会に恵まれた。

 氏は、現在の荒廃した社会は、「論理」や「合理精神」が破綻した結果ではないかと主張されている。

 その内容には立ち入らないけれども、戦後、我が国は祖国への誇りや自身を失うように教育され、すっかり足腰の弱っていた日本人は、世界に誇るべき我が国古来の「情緒と形」をあっさり忘れ、市場経済に代表される、欧米の「論理と合理」に身を売ってしまい、「国家の品格」をなくしてしまった、と論じている。

 そして、日本は、金銭至上主義を何とも思わない野卑な国々とは、一線を画す必要があり、日本人一人一人が美しい情緒と形を身につけ、品格ある国家を保つことは、日本人として生まれた真の意味であり、人類への責務と思うと述べられ、ここ4世紀間ほど世界を支配した欧米の教義の破綻から世界を本格的に救えるのは、日本人しかいない思う、という言葉で結ばれている。

 中々うなずける箇所があり、興味深い一冊であった。

 今回はこの辺で。