長勢法相は、国民投票法案の今国会成立が確実になったことを受けて、民法と少年法がそれぞれ「20歳」と定めている成年年齢の引き下げの是非について、検討に入る考えを明らかにした。国民投票法案は投票権年齢を「18歳」とし、法施行までの3年の間に民法などの成年年齢を引き下げるよう付則で求めているからです。

 もともと明治民法が、当時15歳をもって成年とする慣習を修正し、満20歳を成年年齢としたのは、1876年の太政官布告において課税や兵役の基準年齢を満20年(丁年)としていたことや、民法草案の模範となったフランス民法が成年年齢を21歳と定めていたことが影響していると考えられています。

 民法の成年年齢の引き下げは、18歳で行為能力(単独で完全に法律行為の効果を帰属させうる能力)が認められることになるため、これまでのように親の同意を得ていないからという理由で、法律行為を取消すことが出来なくなります。

 では、仮に民法で成年年齢が18歳と定められた場合、少年法、公職選挙法、未成年者飲酒禁止法、未成年者喫煙禁止法などの他の法律はどうなるであろうか。

 元来、民法の成年年齢と選挙権年齢や少年年齢とは関係がなかった。1925年の普通選挙法では25歳以上の男子のみ選挙権が与えられていたし、少年法はもともと18歳未満を少年としていたものが、戦後の改正により20歳が基準とされたのです。

 そうです。私法上の権利義務関係を帰属させうる能力と、候補者を選びうる能力や人格の可塑性に富んだ少年年齢とは、必ずしも関連はないのです。統一した方が便利だからという観点からではなく、それぞれの法律の目的から決定すべきものと考えます。

 この観点からすれば、現行法は、飲酒や喫煙は20歳を基準としているが、18歳を基準とすべきであろうか。未成年者の飲酒や喫煙は、未成年者の心身の発達を阻害するということが立法趣旨でありますから、この観点から年齢設定をすべきでしょう。果たして、18歳になれば飲酒や喫煙をしても心身の発達を阻害することはない、という判断をするのでしょうか?

 法改正を見守っていきましょう。

 今回はこの辺で。