海上自衛隊の乗組員だった1等海士の男性(当時21歳)のいじめ自殺訴訟判決で、原告の母親が訴えてきた真実が立証された。ー毎年100人に及ぶ自殺者が続出する自衛隊について、隊内のいじめが原因と事実的因果関係を認めた判決は「さわぎり」事件(08年)福岡高裁に次ぐものである。
横浜地裁判決(2011/ 1/26)は、いじめと自殺の因果関係を認め、国と元2曹に計440万円の賠償を命じた。一方、元2曹と上官らが「男性の自殺を予見できたとは認められない」として、元2曹による暴行・恐喝で被った精神的苦痛への慰謝料にのみ賠償責任を認定、死亡についての賠償責任は認めなかった。
※遺族側はこの点を不服として控訴する方針。
<事実関係>
・男性は2004/10/27、都内の駅で電車に飛び込み自殺。遺書に(元2曹を名指しで)「お前だけは絶対に許さねえからな」と記載。
・元2曹は、殴打・エアガンで撃つ暴行やアダルトビデオ買い取り強要等の恐喝をした。
・男性から被害の申告を受けた第2分隊長が「何ら措置を講じることもなかった」として上官3人の責任を認め、国の安全配慮義務違反も認めた。
政府は判決を重く受け止め、自衛隊全体の再発防止に務めるべきであろう。