2011年 12月の記事一覧

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11年12月27日 10時16分10秒
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和田経営労務研究所
特定社会保険労務士
和 田 栄
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有休の消化を前年度繰越分と今年度付与分の
どちらからするのかで、結果はまったく違ってきます。


前回の例では、今年度付与分から消化の方が、
有休は8日も少なくなりました。

なんか、会社にはトクでも
社員にはソンのような気がしますね。

でも、在職中はあまり損得はありません。

というのも、8日少なくなったといっても
2年6か月目には14日あるのです。

有休の取得は多くても10日程度でしょうから、
結局は2年前の分は毎年切り捨てられていくのです。

ですから、有休が22日でも14日でも実質的には変わらないのです。

ただし、唯一変わるのが、退職のときです。

残った有休をまとめてとって退職する社員がいますが、
このとき有休消化の順番によって違いが出てきます。

例えば、勤続10年の社員が有休の残り全部をとって退職する場合。

この社員は、前年に有休を10日消化していたとします。

このとき有休消化の順番によって次のような違いが出ます。

①前年度繰越分から消化の場合
(20日-10日)+(20日-0日)=30日
20日+20日=40日(10日切り捨て)


②今年度付与分から消化の場合
(20日-0日)+(20日-10日)=30日
10日+20日=30日(20日切り捨て)


このように、退職時の有休消化は、
①は40日のフル日数になるのに対し、②は30日に抑えることができました。

有休の消化を今年度付与分からとすることは、
退職時の有休消化の抑制に大きな効果を発揮するのです。


逆に社員にしても、在職中の不利益はほとんどなく、
退職時にこのようになってしまう程度です。

しかも、退職ギリギリまで出勤する社員にとっては、
ほぼ不利益はないと言えるでしょう。

(おわり)
11年12月20日 14時58分02秒
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和 田 栄
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前回のお話のとおり、
有休の内訳は前年度繰越分と
今年度付与分の2種類があります。

そして、有休の消化は

前年度繰越分→今年度付与分

の順にしていきます。

どの会社でもこのようにしていると思いますが、
本書にも書いたように、このやり方に根拠はありません。

有休の消化は逆の順番でもかまいません。

これは会社が決めていいんです!


前回の例と同じケースで逆の順番にしてみましょう。

①付与・・・6か月→10日
②消化・・・10日-2日=8日
③付与・・1年6か月→8日+11日=19日
④消化・・・19日-9日=10日
⑤付与・・・2年6か月→2日+12日=14日(8日切り捨て)


①②③は同じです。

④は同じに見えますが、内訳が違います。

前回は

(8日+11日)-(8日+1日)=10日

でしたが、

今回は次のようになります。

(8日+11日)-9日=10日

持っている有休は前年度繰越分と今年度付与分に分割しますが、
消化分は分割しません。

そして、これを次のように組み替えます。

(8日-0日)+(11日-9日)=10日

つまり、前回とは逆に今年度付与分11日から消化して、
ゼロになったら前年度繰越分から消化するのです。

このケースでは、今年度付与分を消化しきれていないので、
前年度繰越分には手を付けません。

したがって、⑤では2年前の分は切り捨てなので、残った8日は切り捨てられます。

結果、今年度付与分の残り2日だけが繰り越されることになるのです。

(つづく)
11年12月16日 10時47分22秒
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和田経営労務研究所
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和 田 栄
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前回の「付与」と「繰り越し」計算式は次のとおりでした。
①付与・・・6か月→10日
②消化・・・10日-2日=8日
③付与・・・1年6か月→8日+11日=19日
④消化・・・19日-9日=10日
⑤付与・・・2年6か月→10日+12日=22日
(切捨てなし)


単純な足し算と引き算なので
簡単のように見えますね。

ところが、
裏側ではちょっと複雑な計算をしています。

①②③はこの計算式のとおりです。



④の計算式は、前年度繰越分と今年度付与分に分けると次のようになります。

(8日+11日)-(8日+1日)=10日

これを組み替えるとこうなります。

(8日-8日)+(11日-1日)=10日

つまり、まず前年度繰越分の8日から消化して、ゼロになったので今年度付与分を1日消化して、結果10日残ったということです。

⑤では2年前の分は切り捨てますが、最初に付与された10日は初年度に2日、次年度に8日消化して使い切りましたので、結果として切り捨てはなくなりました。

⑤の(切り捨てなし)とは、そういう意味です。

(つづく)
11年12月13日 09時34分24秒
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前回ご説明した「付与」と「繰り越し」の関係を
計算式で表すと次のようになります。

○6か月→10日
○1年6か月→10+11=21日
○2年6か月→11+12=23日(10日切り捨て)
○3年6か月→12+14=26日(11日切り捨て)
○4年6か月→14+16=30日(12日切り捨て)
○5年6か月→16+18=34日(14日切り捨て)
○6年6か月→18+20=38日(16日切り捨て)
○7年6か月→20+20=40日(18日切り捨て)
○8年6か月→20+20=40日(20日切り捨て)


この基本形は大事なので
よく覚えておいてくださいね。

この基本形を踏まえて、
ここから先は少しややこしい話をします。

一応本書でも説明はしているのですが、数字のことを文章で書いているのでちょっとわかりにくいんですね。

このブログで、本書と同じことを計算式で解説しますので、
本書をお持ちの方は併せて見ていただけるとより理解が深まると思います。

ある社員が、有休を初年度に2日、次年度に9日消化したとします。

まず、6か月後に有休を10日付与されて、そのうち2日を消化しました。

そうすると、残りは8日です。

1年6か月後には新たに11日付与されますから、合わせて19日になります。

次年度は9日消化しましたので、残りは10日になります。

そして、2年6か月後には新たに12日付与されますから、合わせて22日になります。

これを計算式で表すと次のようになります。

①付与・・・6か月→10日
②消化・・・10日-2日=8日
③付与・・・1年6か月→8日+11日=19日
④消化・・・19日-9日=10日
⑤付与・・・2年6か月→10日+12日=22日(切り捨てなし)


(つづく)
11年12月09日 10時42分05秒
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有給休暇(有休)で一番多い勘違いが、
付与と繰り越しの関係。

今回からは、
有休の日数の計算方法を詳しくお話しましょう。

まずは有休のおさらいから。

最初に有休を付与されるのは入社6か月後。

日数は10日です。

次に付与されるのはその1年後(入社1年6か月後)。

日数は11日です。

あとは、
1年毎に12日、14日、16日、18日、20日と付与されます。

20日で打ち止めになり、それ以上は増えません。

さて、毎年有休は付与されますが、ずっと累積されるわけではありません。

直近2年分しか持っていられません。

これは、有休の時効が2年だからです。

例えば、入社6か月後に10日付与され、その1年後に11日付与されます。

この時点では、合計21日です。

さらに、1年後に12日付与されますが、直近2年分しか持てないので、
最初の10日は切り捨てになります。

そうすると、有休は23日になります。

(つづく)
11年12月02日 11時05分56秒
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最後に会社都合による休業ですが、
この期間も有休は取れません!


リーマンショックから少し回復しかけたときに
大震災があり、EUは危機的状況、タイは大洪水・・・。

未だに業績が低迷している企業は
たくさんあるのではないでしょうか。

社員に出勤してもらっても仕事がないという場合は、
社員を休業させるしかありません。

この場合、
平均賃金の60%は払わなければなりませんが、
やることがないのに出勤させて
給料を100%払うよりはマシです。

それなのに、有休を認めてしまったら給料を100%払わなければなりません。

これでは何にもならないですよね。

会社都合の休業は、それを命じた時点で労働義務を免除しています!

ですので、その日に有休を取ることはできません。

社員の中には60%じゃ嫌だからといって有休を請求している人もいますが、
これは拒否できますので安心してください。

(おわり)
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