2011年 4月の記事一覧

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11年04月08日 07時51分11秒
Posted by: azuma
(Q1)
今回の震災に伴い、事業活動が縮小している。来年度からの採用を予定している者について、内定を取消すことは可能か。
その他内定者の取扱いについて留意すべきことはあるか。
(A1)
採用内定により労働契約が成立したと認められる場合には、採用内定取消しは解雇に当たり、
労働契約法第16条の解雇権の濫用についての規定が適用される。
したがって、採用内定取消しについても、
客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利を濫用したものとして無効となる。

▲採用内定通知等に採用内定取消事由が記載され、解約権が留保されている場合があるが、
△裁判例によれば、
採用内定の取消事由は、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認できるものに限定されている。
*なお、採用内定により労働契約が成立したと認められる場合に、やむを得ない事情により採用内定取消しを行おうとする場合には、使用者は解雇予告等労働基準法に基づく解雇手続を適正に行う必要があるとともに、採用内定者が採用内定取消しの理由について証明書を請求した場合には、遅滞なくこれを交付する必要がある。
このことは、最低労働基準を定める労働基準法上の取扱いであり、上記の採用内定取消しの有効性に関する取扱いを示したものではない。また、新規学校卒業者の採用内定取消しを行おうとする場合は、所定の様式により、必ずハローワーク及び学校に通知することが必要となる。


(Q2)
今回の震災に伴って、4月1日付けで採用を予定している者について、自宅待機させるか、入社日自体を延期したいと考えているが、その場合に労働基準法第26条の休業手当を支払う必要はあるか。
(A2)
採用内定の際に予定されていた入社日に入社させた上で、実際には就業をさせず自宅待機を命じた場合には、当該自宅待機は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たらない天災事変等の場合を除き、労働基準法第26条に定める休業手当を支払う必要がある。


東社会保険労務士事務所HP
11年04月06日 21時24分11秒
Posted by: azuma
東日本大震災に伴う解雇についてのQ&A


(Q1)
今回の震災を理由に雇用する労働者を解雇・雇止めすることはやむを得ない対応として認められか。
(A1)
震災を理由とすれば無条件に解雇や雇止めが認められるものではない。
また、今回の震災の影響により、厳しい経営環境に置かれている状況下においても、
出来る限り雇用の安定に配慮していただくことが望まれる。
解雇については、労働契約法の規定や裁判例における以下のようなルールに沿って適切に対応する必要がある。
■期間の定めのない労働契約の場合
△労働契約法第16条
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」
△裁判例
整理解雇(経営上の理由から余剰人員削減のためになされる解雇)については解雇の有効性の判断に当たり、4つの事項が必要である。
①人員整理の必要性、②解雇回避努力義務の履践、③被解雇者選定基準の合理性、④解雇手続の妥当性
■有期労働契約(期間の定めのある労働契約)の場合
パートタイム労働者や派遣労働者に多く見られる契約形態である。
△労働契約法第17条第1項
「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、
その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」
★有期労働契約期間中の解雇は、期間の定めのない労働契約の場合よりも、解雇の有効性は厳しく判断される。
△裁判例
契約の形式が有期労働契約であっても、期間の定めのない契約と実質的に同じ場合や、
反復更新の実態、契約締結時の経緯等から雇用継続への合理的期待が認められる場合は、解雇に関する法理の類推適用等がされる場合がある。

(Q2)
今回の震災で、事業場の施設・設備が直接的な被害を受けたために、
事業の全部又は大部分の継続が困難になったことにより労働者を解雇しようとする場合、
労働基準法第19条及び第20条に規定する「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」による解雇といえるか。
(A2)
△労働基準法法第19条
「使用者は、労働者が業務上の負傷又は疾病のため休業する期間及びその後30日間、産前産後の女性が労働基準法第65条に基づいて産前産後の休業をする期間及びその後30日間は、労働者を解雇してはならない。ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合に労働基準監督署長の認定を受けたとき等はその限りではない。」
△労働基準法第20条
「使用者は労働者を解雇する場合には、30日前に予告するか30日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならない。ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合等で労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告や解雇予告手当の支払は不要である。」

★「天災事変その他やむを得ない事由」とは、
天災事変のほか、天災事変に準ずる程度の不可抗力によるもので、かつ、突発的な事由を意味し、経営者として必要な措置をとっても通常いかんともし難いような状況にある場合を意味すると解されている。
★「事業の継続が不可能になる」とは、
事業の全部又は大部分の継続が不可能になった場合を意味すると解されている。
☆今回の震災で、事業場の施設・設備が直接的な被害を受けたために事業の全部又は大部分の継続が不可能となった場合は、
原則として、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」に当たるものと考えられる。

(Q3)
今回の震災で、事業場の施設や設備は直接的な被害を受けていないが
取引先や鉄道・道路が被害を受け、原材料の仕入、製品の納入等が不可能になったために、事業の全部又は大部分の継続が困難になったことにより労働者を解雇しようとする場合、労働基準法第19条及び第20条の「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」による解雇といえるか。
(A3)
事業場の施設や設備が直接的な被害を受けていない場合には、事業の全部又は大部分の継続が不可能となったときであっても、
原則として「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」による解雇に当たらない。
▲ただし、取引先への依存の程度、輸送経路の状況、他の代替手段の可能性、災害発生からの期間等を総合的に勘案し、事業の継続が不可能となったとする事由が真にやむを得ないものであると判断される場合には、例外的に「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」に該当すると考えられる。

東社会保険労務士事務所HP
11年04月04日 07時49分50秒
Posted by: azuma
▼厚生労働省がQ&Aを発表しました。

平成23年東北地方太平洋沖地震に伴う労働基準法等に関するQ&A(第2版)
(平成23年3月31日版)

■派遣労働者の雇用管理
(Q1)休業手当
派遣先の事業場が震災の影響で休業したが、
派遣先事業主が直接雇用する労働者を休業させたことについては、
労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」に当たらず、同条に基づく休業手当の支払が不要とされた。
このような場合、派遣元事業主と派遣労働者との関係においても、休業手当の支払いは不要か。
(A1)
派遣中の労働者の休業手当について、「使用者の責に帰すべき事由」に当たるかどうかの判断は、派遣元の使用者についてなされる。
派遣先の事業場が、天災事変等の不可抗力によって操業できないため、派遣されている労働者を当該派遣先の事業場で就業させることができない場合であっても、それが「使用者の責に帰すべき事由」に該当しないとは必ずしもいえず、派遣元の使用者について、当該労働者を他の事業場に派遣する可能性等を含めて、「使用者の責に帰すべき事由」に該当するかどうかが判断される。
△また、今回の震災に伴う経済上の理由により事業活動が縮小した場合は、休業についての手当等が支払われ、雇用保険の適用事業所であるなど他の要件を満たせば、雇用調整助成金及び中小企業緊急雇用安定助成金が利用できる。

(Q2)解雇
派遣先の被災等により、派遣先での業務ができなくなったことや、
派遣先と派遣元の労働者派遣契約が中途解除されたことにより、派遣元が派遣労働者を即時に解雇することは許されるか。
(A2)
まず、「派遣元と派遣先との間の労働者派遣契約」と「派遣元と派遣労働者との間の労働契約」とは別であることに留意する必要がある。
派遣元と派遣労働者との間の労働契約は、契約期間の定めのない労働契約である場合(無期労働契約)と契約期間の定めのある労働契約である場合(有期労働契約)がある。有期労働契約の解雇については、労働契約法第17条第1項において、「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」と規定されていることを踏まえ、適切に対応されることが望まれる。派遣元の使用者は、派遣先での業務ができなくなったり、派遣先との間の労働者派遣契約が中途解除された場合でも、そのことが直ちに労働契約法第17条第1項の「やむを得ない事由」に該当するものではない。
東社会保険労務士事務所HP
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