札幌市豊平区の 社会保険労務士・税理士 溝江諭(みぞえさとし) です。
 
 先日の午後、大学学部での今期初めての授業。4月も半ばだというのにここ札幌ではちょっと肌寒いほどの気温です。その大学の客員教授でもある私は学生を相手に「税務会計論」をこれから1年間受け持つことになります。対象は商学部や経済学部の3,4年生。昨年はなぜか5年生、6年生が少なからずいたのですが、今年はひとりもいないようです。使用する教室は正門から一番遠い所に位置するE棟の5階。正門から教室にたどり着くまでに5分以上はかかります。
 
                大学

 教室に入るなり、開口一番、私は学生にこう呼びかけました。
 
 「こんにちは! 後ろに座っている人、みんな前に来て座ってください。」
 
 後ろに陣取っていた学生たちがぞろぞろと前の方へ移動してきます。
 
 一同着席し静かになったところで、簡単な自己紹介。その後、黒板に次のように書きました。
 
 『聞くは一時(いっとき)の恥、聞かぬは一生の恥』
 
 「このことわざを知っている人は手を上げて」と尋ねると2割ほどの学生が挙手。ことわざ・金言・格言には人間の長い歴史の中で培われ、人生における「本質に迫る」ものが多いのですが、この言葉も勉学中の学生にとって貴重な助言となり得るものです。場合によっては、その人の一生を左右するほどの「力を秘めたことわざ」と言ってもいいかもしれません。
 
 学生たちの周りには豊かな経験と知識を持ったたくさんの教職員がいます。自分の勉強の際にこれら先賢たちの経験や知識を有効に活用しないという手はありません。私たち凡人は正確な知識がないにもかかわらずついつい「知ったかぶり」をしたり、人前で質問するのを恥ずかしがってせっかくの知識習得の機会を逃しがちです。私も苦い経験を何度もしています。これを戒めたのがこのことわざです。
 
 すなわち、「疑問に思ったことはすぐに質問しよう!恥ずかしがらずに質問しよう!」ということになります。
 
 「みんなの前で質問するのは恥ずかしいな。こんな基本的なことを質問するとみんなから馬鹿にされるのではないか?」と心の中で考えたことはありませんか。これが「聞くは一時(いっとき)の恥」ということです。
 
 でもそんな心配は無用。多くの教職員は質問を大歓迎してくれるでしょう。どんな質問であれ喜んで答えてくれるはずです。もし、質問することを躊躇して、疑問をそのまま放置したならば、疑問に思った内容さえいつしか忘却し、イザという時にその知識を活用できないばかりか、その内容が一般常識の範疇に該当する場合には思わぬ赤恥をかく事態を招くことさえ考えられます。まさに「聞かぬは一生の恥」という状況に陥ってしまうことになります。
 
 授業中に疑問を発見したならばすぐに質問する習慣を学生には身につけてほしいと私は願っています。
 
 分からないことを発見することが知的探求への旅の第一歩だからです。この楽しみは次のように連鎖しています。
 
1 発見の楽しみ → 分からないことを発見することの楽しみ
2 未知から既知への楽しみ → 分からないことが分かることの楽しみ
3 活用の楽しみ → 分かったことを実際に活用・利用することの楽しみ
4 成果の楽しみ → 活用・利用した結果なんらかの成果を得る楽しみ
5 究明の楽しみ → 十分な成果を得られなかった場合にその原因を究明する楽しみ。これは「1 発見の楽しみ」の第2段階と言えるものです。
6 対策研究の楽しみ → 5の原因を除去するための対策を考える楽しみ。これは「2 未知から既知への楽しみ」の第2段階と言えるものです。
7 対策実施の楽しみ → 対策を実施することの楽しみ。果たしてその効果があるのか?これは「3 活用の楽しみ」の第2段階と言えるものです。
8 対策実施後の成果の楽しみ → 対策実施後の新たな成果を得る楽しみ。これは「4 成果の楽しみ」の第2段階と言えるものです。
9 新たな究明の楽しみ → 対策を実施したにもかかわらず十分な成果を得られなかった場合にさらにその原因を究明する楽しみ。これは「1 発見の楽しみ」の第3段階と言えるものです。
 
 このように、楽しみは連続しつつ、螺旋階段を登るように発展していきます。また、そのためには「3 活用」や「7 実施」のように自ら「実行」することが求められます。実行に結びつかないと「楽しみの連続」はそこで遮断され、発展に結びつきません。
  
 このようにして一度芽生えた知的探究心はとどまることを知りません。これを今の学生に伝えたいのです。
 
 しかし、よく考えてみると、この格言はなにも学生のためだけに存在するものではありません。今、この世の中に生きているすべての人に当てはまることではないでしょうか。
 
 もし・・・。
 
 もし、あなたがそれでもなお、人前で質問することがやはり恥ずかしいとお考えならば、発見した疑問を必ず記録しておきましょう。そして、その疑問解決のため、あとで必ず自分で調べる習慣を身につけましょう。それでも納得できる回答が見つからないときがあります。その時は、ちっぽけな見栄など捨てて、知っている方に謙虚に教えを乞いましょう。そんなときに備えて、自分の疑問に答えてくれそうな先賢たちを自分のまわりに配置しておくことも成長しようとする人間にとってはとても大切なことです。
 
 「聞くは一時(いっとき)の恥、聞かぬは一生の恥」


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 そうそう。冬期間、運動らしい運動もせずに過ごしてきた私にとって、教室があるE棟の5階まで、エレベーターに頼らず、「えっちら、おっちら」と徒歩で登って行くことは想像以上の運動になりました。いささか情けない話ですが、これも実際にやってみて初めて分かることです。
 
 
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  税理士・社会保険労務士・行政書士 溝江 諭 KSC会計事務所
      Tel  011-812-1672 http://www.ksc-kaikei.com/  
    札幌学院大学 客員教授 税務会計論担当(学部)
                  税務会計論演習担当(大学院)
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