日本郵便の有期契約社員らが、正社員と同じ仕事なのに手当などに差があるのは労働契約法(第20条)違反だとして、同社に未払い分計約3100万円の支払いを求めた訴訟で、一部の手当について「契約社員に支給がないのは不合理」として、同社に計約300万円の支払いを命じた裁判がありました。

 不合理と認められたのは、年末年始勤務手当、住居手当(住宅手当)、扶養手当(家族手当)の3つの手当の不支給。

 判決は、年末年始の繁忙期に支給する趣旨は「契約社員にも妥当する」と指摘。住居手当は「転居を伴う配転がない正社員にも支給されている」、扶養手当は「職務内容の相違により支給の必要性は大きく左右されない」といった理由から、格差は不合理と判断したとのこです。

 一方、正社員と同じ地位にあることの確認を求めた請求については却下。正社員と同様の夏期休暇、冬期休暇、病気休暇が取得できる否かについては判断を示しませんでした。また、夏期・年末手当(賞与)についても、「正社員への支給を手厚くするのは人事上の施策として一定の合理性がある」として請求を退けたとのことです。


 なお、年末年始勤務手当と住居手当の不支給については、同社の契約社員が起こした同様の訴訟で、平成29年9月の東京地裁の判決でも「不合理」とされましたが、支給すべき額は、それぞれ正社員の8割、6割とされていました。

 しかし、今回の大阪地裁は正社員と同額(10割)の支給を命じました。


 この訴訟で、訴えの根拠となっているは、平成25年4月から施行されている労働契約法第20条です。最近、同条をめぐる問題が、新聞などに度々取り上げられています。
 その概要は、確認しておきましょう。

<労働契約法第20条(不合理な労働条件の禁止)/「労働契約法改正のあらまし」より)>
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/pamphlet07.pdf


〔参考〕非正規と正規の格差をめぐる訴訟は他にもありますが、裁判所の判断は分かれています。

 最高裁に上告されている事案もあります(ハマキョウレックス事件〔平成28年7月大阪高裁〕など)。

 「働き方改革関連法案」が今国会の重要法案と位置づけられていますが、その柱の一つは、「同一労働同一賃金」の実現に向けたパートタイム労働法・労働契約法など改正です。

 非正規と正規の格差をめぐる訴訟にも影響がでることになりそうですから、その面からも、法案の行方が気になるところですね。

 今後の動向に注目です。