1 労働基準法の解雇制限 労基法第19条により、次の期間はいかなる理由があっても解雇できません。
 1)業務上負傷し、または疾病に罹り療養のために休業する期間及びその後30日間
 2)労基法第65条の規定による産前産後の期間及びその後30日間
労働者本人の自由意思による退職は、当然可能です。

2 法律による解雇禁止
 《労働基準法》
1)国籍、信条または社会的身分を理由とする、差別的解雇の禁止(労基法第3条)
2)労働者が裁量労働制の適用について同意しなかったことを理由とする解雇の禁止(労基法第38条の4第1項第6号)
3)労基法違反の事実を労働基準監督署などに申告したことを理由とする解雇の禁止(労基法第104号第2項)
《その他の法律》
1)女性労働者が妊娠、出産したこと、産前・産後休業を請求し、または休業したことを理由とする解雇の禁止。(男女雇用機会均等法第9条)
2)育児・介護休業の申し出をし、または育児介護休業をしたことを理由とする解雇の禁止(育児介護休業法第10条、第16条)
3)労働組合の組合員であること、労働組合に加入・結成しようとしたこと、労働組合の不当労働行為や証拠提出を理由とする解雇の禁止(労組法第7条)
4)個別労働関係紛争に関し、あっせん申請をしたこと等を理由とする解雇の禁止(個別紛争解決法 第4条、第5条)

3 解雇の無効
 「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」(労働契約法第16条)

4 解雇の手続き(労働基準法)
《解雇の予告・解雇予告手当》
解雇予告手当の支払いは解雇通告と同時でなければなりません。
・予告の日数は平均賃金を支払った日数分だけ短縮できます。30日の予告の一部を予告手当で支払う場合時期は、解雇の日までに行われればいいと解されています。

5 解雇権濫用法理
 民法627条では、労働者側からの辞職も使用者側からの解雇も自由であって、期間の定めのない雇用契約はいつでも解約できるとされています。そして労働基準法は前述の解雇制限や解雇禁止規定を除けば、解雇自体を否定するものではなく、「解雇の予告」や「解雇予告手当」という手続きを規定しているにすぎません。この意味では民法の規定にもどり、解雇は自由なわけです。従って解雇の妥当性に異議がある場合は民事的に争うことになります。
 但し戦後、終身雇用制と年功序列制が確立されるなかで、特別な理由がない限り労働契約は解消しないとする、解雇権濫用法理が裁判で作り上げられてきました。
 逆にいえば、これら制度を適用しない雇用契約がなされている従業員は、解雇の自由度が高いと考えられます。今後の裁判の方向性を注視する必要があります。



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