皆さまの暮らしを支える公的年金をはじめとする社会保障は、基本的には現役世代が保険料の負担をして高齢世代が給付を受けるという世代間仕送りの方法で国によって運営されています。

しかし、本格的な少子高齢化社会の到来によって、負担をする者が少なくなり、給付を受ける者が多くなります。現在、現役世代の方々も、いずれは高齢となり給付を受ける世代となりますが、専門機関の推測によれば、この先も少子高齢化は進展するものと推測されいて、公的年金における負担と給付の在り方が見直されています。

今後、国が果たすことができる役割は、時間をかけて小さくならざるを得ず、自己の努力による責任が時間をかけて大きくなっていきます。現役時代からの早めの備えがとても重要となります。

平成16年の生活水準から試算すると、個々の年齢やライフスタイルに応じて千差万別ですが、自己努力による必要額は、このまま少子高齢化が進展し公的年金の給付額の調整が行なわれた場合(注1)、最低限の生活費に対して平均して毎月約10万円ほどは不足するとの試算結果が出ています(昭和44年生まれ。平成16年現在35歳の場合)。

(注1)マクロ経済スライドと呼ばれる年金給付額の調整が続けられた場合を指します。


国もこのような状態のままであると、将来の国民生活の安定が損なわれると判断し、確定拠出年金法を平成13年に施行するなどして、公的年金の給付と相まって国民生活の安定を図れる制度を拡充しています。
このような国が行なう公的年金を補完する制度の1つに、”確定拠出制度”があります。
法律で認められている確定拠出制度は、下記の3つの制度です。
  ● 確定拠出年金法    (通称 日本版401K) 
  ● 中小企業退職金共済法 (通称 中退共)
  ● 特定退職金共済法   (通称 特退金)

そこで、上記の3つの制度の中で、会社が採択する制度について、高齢期における所得の確保のために現役時代から備える方法として、会社が従業員の皆さまに「給与の一定額」について受け取り方法の選択肢を与えて、従業員の皆さまが
 ① “今”、給与として賃金を受け取る
 ② 確定拠出制度を利用して、”将来”に給付を受ける
①②の選択を従業員さまの自由な意思によって選択できる賃金体系があります。
この賃金体系を ”選択制確定拠出” と呼んでいます。

「確定拠出制度を利用して、”将来”に給付を受ける」ことを選択した場合には、国が用意する確定拠出制度の仕組みを利用して、現役時代に課税負担の優遇を受けながら、会社外部の機関において、個人ごとに明確に区分され管理された個人資産を構築することができます。
確定拠出制度とは、掛金(拠出)額を決定し、この掛金額と積立てた期間に得た運用益(利息)を合計した額が受け取れる制度のことです。

個人で行なう貯蓄とは違って課税負担が優遇されている理由は、積み立てたお金の受け取りの時期が制度ごとに明確に決められているからです。しっかりと目的を持って計画を立てることが重要です。

京都の社会保険労務士 田原事務所 確定拠出年金401kのプロ 田原信孝の記事はこちら
http://pro.mbp-kyoto.com/401k/